睡眠と生活習慣病との関係
少し古い情報ですが、久留米大学医学部の内村直尚助教授(精神神経学)の調査で、高血圧症などの生活習慣病を抱える人は、健康な人に比べて不眠で悩む割合が高いことが分かったそうです。また、その一方で、睡眠薬を使用してグッスリ眠ると過半数の人が高血圧症などの改善を実感することも分かったそうです。
調査方法は、JR東海の35~59歳の男女8,550人を対象に、過去2年間の総コレステロール値や血糖値の異常の有無のほか、 不眠の状況や対処法などを質問するというもので、有効回答は5,952人(有効回答率:約70%)でした。
この結果、生活習慣病として、「高血圧症」「高脂血症」「糖尿病」の3疾患を想定したところ、回答者の過半数の50.4%
が1つ以上の疾患を医師から指摘されていたそうです。
さて、不眠で悩んだ経験の有無については、以下のように、生活習慣病を抱える人の方が不眠に悩んだ経験が多いという結果でした。
不眠で悩んだ経験の有無
生活習慣病がない人では 28.1%
生活習慣病を抱える人では 31.7%
また、生活習慣病を抱える人の詳しい結果は以下のとおりでした。
不眠で悩んだ経験の有無
3疾患のいずれかを治療中の人では 30.8%
3疾患すべてを治療中の人では 36.7%
3疾患のいずれかで治療を放置している人では 32.0%
3疾患すべてを抱えて治療を放置している人では 38.3%
これから、疾患が多いほど不眠で悩んだ経験を持つ人の割合が多く、また治療せずに放置している方が、
不眠で悩んだ経験を持つ人の割合が多いことが分かります。
さらに、生活習慣病の治療中に睡眠薬を服用した人を対象に、服用前後の生活習慣病の変化を尋ねたところ、以下の結果でした。
改善した 53.1%
変化なし 44.1%
悪化した 2.7%
つまり、睡眠薬を服用してもグッスリ眠れば、過半数の人が生活習慣病の改善を感じているということです。なお、高血圧症に限ると、65.3%
が改善したとの回答があったそうです。
この調査結果からだけでは因果関係ははっきりとはしないのですが、 睡眠薬を服用してもグッスリ眠ることは生活習慣病を改善させることにつながり、反対に、 生活習慣病が不眠の原因にもなりうるという傾向があるようです。
少なくとも、生活習慣病はそのままにしておくのではなく、きちんと治療をするのがよいのは確かでしょうね。
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