鉄道事業者による運転士の睡眠時無呼吸症候群の検査方法などの実態

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平成17年10月16日

読売新聞社は、JR福知山線脱線事故の発生から半年となるのを前に、運転士の健康管理について、 37主要鉄道事業者を対象にアンケートを実施しました。その結果、睡眠時無呼吸症候群の検査法にばらつきがあることが分かりました。



全事業者は、法令に基づいて、健康診断は年1~2回、適性検査は運転士免許取得時と、その後、3年ごとに義務付けていて、 内容はほぼ同一でした。

しかし、法令上の規定がない睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査方法にはばらつきがあったそうです。

具体的には、次のとおりです。

・血液中の酸素濃度を測る器具を使ったSASの簡易検査は、JR九州と西日本鉄道(西鉄)の2事業者が運転士全員に義務付けている。

・10事業者は、医師らによる問診である。

・全体の約6割の23事業者は、決められた設問に答えるチェックシートによる自己申告方式である。

・問診やチェックシートでSASの疑いがある場合、簡易検査や専門医の診察を受けさせている。

参考までに、福知山線の事故で死亡した運転士は2003年4月に適性検査に合格、 SAS検査は自己申告で問題なしとされていたそうです。

また、調査では、仮眠時間や仮眠室の個室の割合にも差が見られたそうで、乗務時間は1日平均7~8時間が多く、 泊まり勤務者の仮眠時間は法令上の規定がなく、最長の名古屋鉄道は7時間、最も短いJR貨物が3時間以上でした。JR貨物は、 「翌日の運転距離などに応じて決めているので、必要な睡眠時間は確保できている」としているそうです。

運転士の仮眠室は、JR西日本など11事業者が個室を確保しています。個室率60%の小田急電鉄などは、「さらに個室化を進めたい」 としているそうです。

これらの結果を見てみると、鉄道事業者ごとに、SASの検査方法や仮眠時間に大きな差があることが分かります。 健康診断や適性検査は法令に基づいていることから内容がほぼ同一であることから判断すると、 やはり法令上の規定がないことが鉄道事業者による差異の要因になっているのでしょう。

このような検査方法や仮眠時間の取り方は、運転士の健康管理にとって大切なのはもちろんのことですが、乗客の命に関わることです。 きちんと法令に定めるなどして、全事業者が必要十分な管理を行う体制になるようにしていただきたいと思います。

ところで、航空事業者の方は、どうなのでしょうか? 非常に気になるところです。


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