赤ちゃん(新生児・乳児)の睡眠リズム
私たちの体内には、一日における覚醒と睡眠、体温、ホルモン分泌のリズムなどを調整するためのシステムが備わっており、それらのタイミングを調節する役割を持つ時計が組み込まれています。
これが、「体内時計」というもので、「生物時計」、「生体時計」、「概日時計」とも呼ばれています。
体内時計が刻む周期は、「サーカディアンリズム」あるいは「概日(がいじつ)リズム」と呼ばれ、これは、ほぼ1日の周期という意味で、地球の自転のサイクルである24時間よりも長くおよそ25時間であることがわかっています(「体内時計について」参照)。
もちろん、このままでは、1日のサイクルと体内時計のサイクルにズレが生じてしまいます。
そこで、毎日、体内時計をリセットする必要があり、この方法が、朝に日光を浴びるということです。毎朝太陽の光を受けることで体内時計がリセットされ、また新たに一日における周期が刻まれるようになるのです。
それでは、赤ちゃんの場合はどうなのでしょうか? 成人と同じように体内時計が働いているのでしょうか? いいえ。赤ちゃんの頃はこの働きが未発達で、大人のようにはいかないのです。
新生児は、体内時計の働きがまだなく、“一日とは無関係のリズム”となっており、「サーカディアンリズム」、「概日リズム」に対して、「ウルトラディアンリズム」、あるいは「超日(ちょうじつ)リズム」と呼ばれています。
また、生まれて間もない新生児の睡眠と覚醒のパターンは、お腹がすくと目を覚まし、お腹がいっぱいになると眠るというものです。しかも、新生児の胃袋はとても小さく、摂取するのが母乳かミルクだけなのですばやく消化します。
そのため、生まれて間もない赤ちゃんは、ほとんど昼夜の区別なく3時間ぐらい寝ては起きるということを繰り返します。
生後1ヶ月~2ヶ月で、ようやく体内時計が働きだし、25時間サイクルのサーカディアンリズムが現れます。ところが、まだ毎日これをリセットすることができません。つまり、25時間のサイクルが継続されるのです。
これがどういうことになるかといいますと、体内時計の働きで規則的に睡眠をとるようになるのですが、25時間周期のため、毎日寝る時間が約1時間ずつ遅れていくことがあります。この現象は、「自由継続(フリーラン)」と呼ばれています。
ということは、赤ちゃんの眠りのサイクルと1日24時間との周期のかね合いによっては、夜に起きたり昼に寝たりして昼夜逆転の生活になることがあるのです。
ただ、ここで注意しておきたいのは、夜起きたからといって部屋を明るく騒がしくしたり、昼寝ているからといって部屋を暗く静かにしたりすることは避けなければなりません。
なぜなら、この時期はまだ体内時計をリセットする働きはないものの、それを一生懸命に作ろうとしているときなのです。そのため、明暗のリズムを狂わせてしまうと、赤ちゃんは昼夜を区別するためのよりどころを失ってしまうのです。
ですから、日中は太陽の光を浴びさせ、夜は暗いところにという生活は自然の状態にしておくことが大切です。
この時期は非常に大切で、昼夜の区別がわかりにくい生活を送らせたり、眠りの時間帯を不規則にしたりすると、自然の昼夜のリズムに体内時計を合わせられなくなってしまうこともあります。
とくに、最近、「概日リズム睡眠障害」の人が増えており、この時期の過ごし方に問題があったことによる後遺症であることもあるようです。
この時期を過ぎ生後3ヶ月~4ヶ月になると、ようやく体内時計をリセットして24時間リズムに合わせることができるようになります。
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