人間の神秘のメカニズム
メラトニンは、脳の中の松果体(しょうかたい)という部分で作られていて、夜になってこれが血液中に分泌されると、体温・脈拍・血圧を下げて、体は睡眠への準備をはじめます。
このメラトニンは、光と大きな関わりがあり、2,500ルクス以上の明るい光を浴びると脳内で生成されます。そのため、よりよい睡眠のためには、午前中に太陽の光を浴びて、多くのメラトニンを作っておくことが大切になります。
また、メラトニンは、夜、暗くなればなるほど、血液中への分泌量が高まり、体を眠りへと誘います。そのため、メラトニンの分泌を促すという観点から、睡眠中は暗ければ暗いほどいいのです。
ここで、少し私の体験を書きます。私の住まいは、寝室が和室で、窓(ベランダへ通じる)が南側に面しています。窓の内側は障子になっていて、そのため元々カーテンはありませんでした。
そして、日の出の時刻や太陽の向きの関係で、秋~冬はいいのですが、春~夏は、朝の5時前から日の光が射し込みます。障子はあまり遮光効果がないので、まだ起きる時刻ではないのに目が覚めてしまうという状況でした。もちろん、安眠・快眠のためには、これは問題です。さっそく解決のために動きました。
まず、我が家は賃貸なので管理会社に事情を説明し、カーテンを付けていいか尋ねました。結果、生活に必要なものなら構わないとのことでしたので、ホームセンターでカーテンレールを購入し、その日のうちに取り付けました(そのため、我が家の寝室は、障子の内側にカーテンがあるという、ちょっと珍しい状態になっています)。
この日からカーテンを閉めて睡眠をとるようにしましたが、遮光効果が高いカーテンを使ったので、部屋の中はまったくと言っていいほど明るくなりません。目覚まし時計がなるまでまったく目が覚めないようになりました。「これだと、目覚まし時計のセットを忘れると寝過ごしてしまう」と心配になったほどです。
しかし、これはあまり望ましい状況ではないのです。朝、目から入った光の情報は、視神経を通じて脳内の視交叉上核(しこうさじょうかく)というところに至ります。その後、信号が脳幹網様体にて受信されると体内時計がリセットされ、夜間と昼間の切り替えがなされ日常的な活動へと準備されます。
ですから、よい目覚めのためには、起床時刻の少し前から寝室が明るくなる方がいいのです。
そこで、頭側になる窓半分のカーテンは閉め、足側の窓半分はカーテンを閉めず障子だけにしました(窓に平行に布団を敷いているので)。この結果、明け方から部屋の中がほのかに明るくなり、カーテンを完全に閉め切るよりも無理なく目覚めることができるようになりました。
「メラトニンの分泌を促すという観点から、睡眠中は暗ければ暗いほどいい」ということと、「よい目覚めのためには、起床時刻の少し前から寝室が明るくなる方がいい」ということは、なかなか両立させることが難しいです。
そこを私は、頭側の窓は遮光性の高いカーテンを閉め、足側はカーテンを閉めない(障子のみ)という方法をとりました。障子がなくとも、レースのカーテンを使うということも考えられます。いずれにしても、目に直接光が当たらないようにすればいいのです。
これに関連しますが、部屋の豆電球を付けておくのがいいのか、消すのがいいのか迷われるかもしれませんが、直接光が目に入らず足元を照らす程度であれば、照明は付けておいてもなんら影響はありません。部屋を真っ暗にするのが不安だという方は、このように対処してみて下さい。
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