高齢者の睡眠薬服用上の注意点
不眠は、「入眠困難」、「中途覚醒」、「早朝覚醒」、「熟睡困難」の大きく4つに分けられます。高齢になると、とくに、それまでにはなかった、明け方に早くに目が覚めてしまうということがよく出てきます(早朝覚醒)。
このような不眠の症状を本人が辛いと感じなければ問題ではありませんが、そうでなければ、睡眠薬を利用することも選択肢のひとつです。
ただし、高齢の方が睡眠薬を飲んだ場合、若い人に比べて体に入った睡眠薬の分解スピードが遅く、作用時間が意図しているよりも長引くことがあります(持ち越し効果)。
また、高齢になると、夜中にトイレに起きることが多くなりがちですが、睡眠薬を服用していると脱力が起こり足元がふらつき、転倒の恐れがあります。
さらには、睡眠薬を飲んでから寝るまでのあいだの記憶が残らない、いわゆる「健忘」が生じることもあります。
そのため、高齢者が睡眠薬を摂取する際には、若い人の半量程度からはじめるのが普通のようです。それで、持ち越し効果や脱力が起こらないようであれば、徐々に量を増やしていきます。
また、現在多く利用されている睡眠薬は「ベンゾジアゼピン系」と呼ばれるものですが、「非ベンゾジアゼピン系」という新しいタイプの睡眠薬があります。これは、脱力が生じることがなく、足元のふらつきによる転倒などを避けることができるため高齢者に使われることがあります。
高齢の方が睡眠薬を服用し、もし上記のような現象が生じたときには担当医にその旨を伝え、量を減らす、あるいは睡眠薬の種類を変更するなどの対応をしてもらうことが大切です。
なお、高齢者が眠りの質を高めるためには、睡眠薬の服用だけではなく、現在の生活スタイルを見直すことがとても大切です。これについては、「高齢者が熟睡するためには」をご覧になってください。
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