精神生理性不眠症について
精神生理性不眠症は、学習不眠、あるいは条件付け不眠とも呼ばれます。
<原因>
例えば、近日中に重要な会議が控えている場合に、これに対しての不安と緊張のため目がさえてしまい、 寝るべき時刻になってもなかなか眠れないということがあります。
これは先述しているように、人間に元々備わっている仕組みで、かつこの会議自体が終わってしまえば不眠は解消されることでしょう。 慢性的でないことから、不眠であるものの不眠症ではありません。
しかし、「眠れなかったら寝不足で、会議で大きな失敗をするんじゃないだろうか?」、「ぐっすり眠れるだろうか?」などというように、 会議そのものではなくて、睡眠自体に不安や緊張が移ってしまうことがあります。このような場合、会議が終了しても、 毎日の眠りに対して心配がよみがえるということが起きることがあります。
こうなると、就寝時刻が近づいてくると、「今日は、ちゃんと眠れるだろうか?」などと心配してしまい、 この気持ちが脳を覚醒し続けるように働いてしまいます。眠ろうとするこだわりがかえって緊張を引き起こしてしまい、 入眠の妨げになるというわけです。精神生理性不眠症は、このような仕組みが原因で起こります。
さらに、精神生理性不眠症の患者さんの中には、「早寝早起きが大切だ」と考え、普段より早めに就寝する方もおられるようです。
しかし、急に早寝しようとしても、なかなか寝付けるものではありません。まして、入眠に不安がある状況では、なおさらです。 早寝すると、かえって布団やベッドの中で眠れない時間を長く過ごすことになり、 ますます睡眠に対する不安が大きくなるという悪循環に陥ってしまいます。
また、平日よく眠れないことから、睡眠の不足分を土日に遅くまで寝ることで取り返そうとしてしまうこともあります。しかし、 このことは、ますます夜寝付けなくなることに結びついてしまい、これも悪循環の原因となってしまいます。
<対処法>
アメリカの睡眠研究家のリチャード・ブーティンによって、条件付き不眠症に対処するための「ブーティン式刺激抑制療法」が開発されています。これは、
20~60歳までの不眠症の人に効果的のようです。
◇◆ブーティン式刺激抑制療法◆◇ ・眠気を感じたときだけベッドに入る ・眠りとセックスのためだけにベッドを使う ・20分以内に寝付けなければ、ベッドから出てほかのことをする ・眠気を感じたら、またベッドに戻る(それでも寝付けなければ、また起きる) ・毎日同じ時刻に起きるように目覚ましをセットして、寝過ごさないようにする ・昼寝はしない |
精神生理性不眠症の患者さんは、眠りに対する不安や緊張によって、不眠という症状を起こしています。そこで、「睡眠前の大切なこと」 でご紹介しているような各種リラックステクニックを実践することで精神を落ち着け、 眠れなくなる原因を解消することも大きな助けになります。
条件付け不眠の場合には、寝具や寝室が不眠に結びつけられてしまっていることから、寝る部屋を変えたり、部屋の模様替えをするなどして、 精神的な障害を取り除くことも効果的です。
また、すべてのタイプの不眠症の方に当てはまることですが、睡眠日記をつけると、 不眠症を悪化させているさまざまな要因を特定することができるようになります。
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