一過性の不眠について

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前節で、一過性の不眠(sleeplessness)と慢性的な不眠=不眠症(insomnia) の違いについてご理解していただけたことと思います。

ここでは、そのうち、一過性の不眠について、その原因や対処法などについてご説明いたします。



一過性の不眠とは、数日~数週間しか続かず、それ以上は長引くことのない不眠のことを指します。一過性の不眠の原因としては、 下記のようなものが挙げられます。

<一過性の不眠の原因>

・環境的要因(騒音や明るさ、不快な温度・湿度など)

・睡眠時間の変化(時差ぼけや交代勤務での交代など)

・大きな精神的ストレス(家族の死など)

・緊張を引き起こすような事柄(経済的な問題、重要な会議、試験など)

・一過性の病気

 

このような気持ちの高ぶりや気がかりなど頭が冴える要因があって、これに伴って入眠困難などが起きてしまうのが一過性の不眠です。

 

ただ、確かに、そのときはつらい思いをするのですが、本人も原因が分かっていますし、数日経てば解消することが予想されますので、 慢性的な不眠に比べれば問題は小さいと言えます。

 

ところで、環境的要因、睡眠時間の変化、一過性の病気が寝付きを悪くする要因となることは、 比較的すんなりと納得できることだと思います。では、なぜ、精神的ストレスや心配事のようなことが不眠の原因になるのでしょうか?

 

本来、人間は、体内時計の働きで、生活のリズムに狂いがない限り決まった時刻になると自然と眠気を感じるようになり、 問題なく入眠することができます。ところが、心配事などがあると、覚醒し続けようと脳が働き、 いくら体内時計や睡眠の中枢が眠気を引き起こそうと働いても、なかなか寝付くことができないということになります。

 

それでは、なぜ脳は覚醒し続けようとするのかという疑問が新たに浮かびます。これは、人間の長い歴史に答えがあります。

 

遠い昔、私たちの先祖は、まだ洞窟や野原などで寝起きしていました。当然、 凶暴な肉食動物に襲われるというような自分たちの命を脅かす危険がいっぱいです。このような状況で、日中、何か危険な目に遭遇した場合、 夜ぐっすり眠ってしまったらどうでしょうか? そのような不用心なことでは、とても生き延びることができません。

 

そのため、人間は、日中、何か心配なことが起きれば、あるいは起きると予想されれば、自分の生命を守るために、 脳が完全に眠らないような仕組みを持つようになったのです。

 

もちろん、現代社会に生きる私たちにとっては、夜、寝ている間に生命の危険に遭うというようなことはないでしょう。しかし、 緊張があれば眠れなくなるというメカニズムは今でも残っていて、働き続けているのです。

 

ですから、もし、何か心配事があり夜眠れないとしても、「これは、自分の先祖が身を守るために身に付けた能力で、自分も間違いなく、 この能力を受け継いでいる。」と考えれば、眠れないことに対するこだわりが少しは和らぐのではと思います。人間とは、 そういう風にできているわけです。

 

ただ、それでも不眠の症状がつらいのは確かです。その時は、やはり専門のお医者さんの診断を仰ぎ、適切な治療を受けることが大切です。


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