体内時計をリセット、リセット
ここでは、体内時計の調整の方法についてご説明いたします。
既に 「体内時計について」でも記載していますが、私たちには、 体温やホルモンの分泌を調整する体内のシステムが備わっていて、睡眠を含めた活動のタイミングを調節する体内の時計が組み込まれています。 これが 「体内時計」で、「生物時計」、「生体時計」、「概日時計」とも呼ばれています。
体内時計は、地球の自転のサイクルである24時間と同一周期ではなく、24時間よりも少し長いことが分かっています(約25時間)。 そのため、この周期は、ほぼ1日の周期という意味の「サーカディアンリズム」あるいは「概日(がいじつ)リズム」と呼ばれています。
もちろん、このままでは、1日のサイクルと体内時計のサイクルにズレが生じてしまい、 だんだんと就寝時刻や起床時刻が遅れていってしまいます。
そのため、毎日、決まった時間帯に睡眠をとろうと思うと、体内時計を毎日リセットして、1日のリズムに合わせる必要があります。 この方法が、朝に太陽の光を浴びることなのです。
このメカニズムをご説明いたしましょう。
まず、目から入った光の情報は、視神経を通じて脳内の視床下部(ししょうかぶ)にある視交叉上核(しこうさじょうかく)
という神経細胞の集まりに至ります。
体内時計は、この視交叉上核の中にあって、光によってリセットされ、夜間と昼間の切り替えがなされ日常的な活動へと準備されます。
そして、時計が修正された視交叉上核は、脳の奥にある松果体(しょうかたい)へ約14時間後に「メラトニン」 というホルモンを分泌するように命令を出します。このメラトニンには、眠気を誘発させるとともに、 体温の調整や他のホルモンの分泌を調節する働きがあります。
つまり、夜になると眠たくなるのは、メラトニンと、この分泌をコントロールする体内時計の働きによっているのです。
ですので、良い目覚めのため、また夜決まった時刻に寝付こうと思えば、毎朝、起きたらすぐにカーテンなどを開けて太陽の光を部屋に取り込み、
太陽の光を浴びて体内時計をリセットするとともに、
メラトニンを決まった時刻に分泌させるようにすればよいわけです。
なお、曇っていても雨降りでも太陽は十分な光量がありますので、大丈夫です。
ただ、そうは言っても、本当は、目覚める時刻の少し前から徐々に部屋の中が明るくなるのが望ましいです。それは、 真っ暗な状態で目覚まし時計の音などで無理矢理起こされても、けっして良い目覚めにはならないからです。
そこで、「人間の神秘のメカニズム」 でもご説明いたしましたが、カーテンを少し開けておくなどして、明け方から部屋の中がほのかに明るくなり、 カーテンを完全に閉め切るよりも無理なく目覚めるようにするなどの工夫をするのがよいでしょう。
よくないのは、布団から出た後も、ずっと暗い部屋で過ごすことです。これだと、体内時計がリセットされず、
夜間と昼間の切り替えがうまくいきません。
参考までに、この切り替えがうまくいかない症状は、「概日リズム睡眠障害」
と呼ばれます。
体内時計がうまくコントロールされ生活リズムが整えば、毎日決まった時間帯に睡眠をとりやすくなり、安眠・ 快眠を確保できやすくなります。朝は、いつまでもカーテンの閉め切った部屋の中にいるのではなく、日の光を浴びるようにしましょう。やはり、 なんといっても、これが基本です。
なお、体内時計が乱れてしまった場合の回復方法については、 「体内時計を元に戻して不眠解消を!」にてご説明いたします。
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