睡眠薬による高齢者の不眠対策

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高齢になると眠りの質が低下するとともに必要な睡眠量が減少し、不眠の症状が出やすくなりますが、生活上の工夫をすることでよい眠りを確保することが可能です。しかし、それでも日常生活に支障があるようでしたら、医療機関に受診したうえで睡眠薬を活用することも選択肢のひとつです。ここでは、睡眠薬を利用した高齢者の不眠の対処についてご説明いたします。


高齢の方の眠りを改善することを目的にした生活上の工夫については、「高齢者の眠りを改善する方法」にてご説明しているとおりです。これらは効果のあるものですが、それでも場合によっては、眠れないことを解消できないこともあるでしょう。


そのような場合には、うつ病や認知症などなんらかの病気が陰に隠れていることもありますし、専門の医師の診断を仰ぐことが大切で、必要に応じて睡眠薬が処方されることがあります。


睡眠薬というと、「大きな副作用があるのではないか」、「服用が習慣化してやめられなくなるのではないか」といった心配をお持ちの方もいらっしゃると思います。確かに、昔使われていた睡眠薬には、服用に際して注意しなければ大きな危険性(大量服用による呼吸抑制、強い依存性や耐性など)があるものがありました。


しかし、それは、「バルビツール酸系」と呼ばれるものであり、現在は、「ベンゾジアゼピン系」と呼ばれる睡眠薬が一般的に使用されています。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、医師の指示に従って服用している限り大きな問題になるものではありません。


ただし、安全性が高いといわれるベンゾジアゼピン系の睡眠薬ですが、高齢者が服用する際には、以下のような注意すべき点があります。


・高齢者では若い人に比べて体に入った睡眠薬の分解スピードが遅く、作用時間が意図しているよりも長引くことがある(持ち越し効果)。

・高齢になると夜中にトイレに起きることが多くなりがちですが、睡眠薬を服用していると脱力が起こり足元がふらつき、転倒の恐れがある。

・睡眠薬を飲んでから寝るまでのあいだの記憶が残らない、いわゆる「健忘」が生じることがある。


そのため、高齢者が睡眠薬を摂取する際には、若年者の半量程度からはじめるのが普通です。これで、持ち越し効果や脱力が起こらないようであれば、徐々に量を増やしていきます。


また、現在多く利用されている睡眠薬は「ベンゾジアゼピン系」と呼ばれるものですが、「非ベンゾジアゼピン系」という新しいタイプの睡眠薬があり、これは脱力が生じることがなく、足元のふらつきによる転倒などを避けることができるため高齢者に使われることがあります。


健忘を起こさないためには、睡眠薬を服用後は、そのまま起きているのではなく、すぐに就寝することが大切です。


高齢者が睡眠薬を服用し、上記のような現象が生じたときには担当医にその旨を伝え、量を減らす、あるいは睡眠薬の種類を変更するなどの対応をしてもらうことが大切です。


なお、睡眠薬というと、寝つきをよくすることが目的であり、高齢者によく見られる中途覚醒や早朝覚醒には使えないと思われるかもしれません。これについては、作用時間の異なる睡眠薬を使い分けることで対処することが可能です。簡単にご説明すると以下のとおりです。

・入眠困難に対しては、「超短時間作用型(超短時間型)」、あるいは「短時間作用型(短時間型)」の睡眠薬

・中途覚醒に対しては、「短時間作用型(短時間型)」、あるいは「中間作用型(中間型)」の睡眠薬

・早朝覚醒に対しては、「中間作用型(中間型)」の睡眠薬


睡眠薬の使い分けに関する詳細は、「睡眠薬の作用時間と半減期」をご覧になってください。


なお、寝つきが悪いということでしたら、医師の処方箋なしで薬局や通信販売にて購入できる「睡眠改善薬」を利用するという対応もあります。睡眠改善薬については、「睡眠改善薬ならびに各製品比較」をご参照になってください。


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