交代勤務睡眠障害
働いている方のほとんどは、日中に働き、夜間に睡眠をとるというサイクルで一日を過ごしていますが、それでも全労働人口の中の多くの方が交代などで夜間に働き、朝方や日中に就寝するという労働形態をとられています。
夜間働くことのある業種をあげれば、長距離トラックのドライバー、タクシードライバー、24時間営業のコンビニエンスストアなどの従業員、当直のある医者や看護師、消防士、警備員など、非常にたくさんあります。
人間は、本来、日中起きて活動し、夜間に眠るというリズムを刻む体内時計を持っています。そのため、夜間に起きて活動すると生体リズムに乱れが生じ、多かれ少なかれ、身体への影響が出てしまいます。
それは、不眠であったり、仕事中の強い眠気や集中力の低下、疲労感、身体の違和感であったりし、これが「交代勤務睡眠障害」と呼ばれるものです。
症状のあらわれ方には個人差がありますが、一日の体温変動の幅が大きい人の方が小さい人よりも夜間勤務の影響を受けにくいようです。また、年齢が上がるほど、夜間勤務への耐性が低下するとの調査結果もあります。
夜間勤務による睡眠障害を防ぐためには、夜勤が終われば午後に就寝するのではなく、明け方などなるべく早い時間帯から眠りをとるのがよいです。それは、午後からですと、夕方近くになるにつれて体温が上がっていき、すぐに目が覚めてしまうからです。これだと、十分な睡眠時間を確保することができません。
また、夜間勤務中はなるべくまわりの照明を明るくし、明け方になれば少しずつ明かりを落としていきます。そして、夜勤が終われば朝日など光を浴びないようサングラスを着用するというのがよいです。これは、明け方からの寝つきをよくし、睡眠の質を高めるためです。
さらに、夜間勤務に入る前や勤務中に、1時間程度の仮眠をとるということが、勤務中の眠気を生じにくくするとともに、仕事の能率低下などを抑制するのに効果的です(これを、アンカー睡眠と呼びます)。
仕事のことなので夜間勤務をなくすということはなかなかできないという方は、このような工夫をされてみて下さい。それでも、症状が重いようでしたら、専門の医師に相談することをお勧めいたします。
治療としては、睡眠薬などの使用で不眠をある程度軽くし、これに合わせて高照度光療法(光治療;ライトセラピー)で薬の摂取量を減らしていくという方法がとられているようです。なお、ライトセラピーについては、「体内時計を元に戻して不眠解消を!」をご覧下さい。
参考までに、従来よく見られた三交代制(日勤、準夜勤、夜勤)よりも、二交代制(日勤、夜勤)の方が、睡眠への影響が少ないという調査結果があるそうです。
不眠症や、睡眠時無呼吸症などの睡眠障害を診療している都道府県別 病院・クリニック一覧です。→ 「不眠症、睡眠障害、睡眠時無呼吸症 病院・クリニック一覧」 |
(管理用)