1.覚醒障害 (1)錯乱性覚醒

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睡眠時随伴症のうち覚醒障害の一種である、「錯乱性覚醒」について、ご説明いたします。


睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠が必ずセットになって現れ、この1つの周期のことを睡眠周期と呼びます。


ノンレム睡眠は、深いノンレム睡眠と浅いノンレム睡眠に大別されますが、深いノンレム睡眠(いわゆる熟睡状態です)は眠りはじめのおよそ1/3に出現し、それ以降は、あまり現れなくなります。


眠りはじめの睡眠は、以下のように推移します。


 覚醒→レム睡眠→浅いノンレム睡眠→深いノンレム睡眠


赤ちゃんや小児の場合、深いノンレム睡眠の終わりに目を覚ますことが多く見られます。


このときの脳波を見ると、覚醒相、レム相、熟睡相が一時的に混在していることがわかり、中途半端で不完全な目覚めであると判断されます。


目覚めたときの状態は、睡眠相の切り替えがどの程度うまくいったかによって決まり、寝返りをうつ、目を少し開く、寝言を言うようなこともありますが、たいていは、そのままぐっすりとした眠りに戻ります。


子どもによっては「覚醒障害」を起こすことがあり、覚醒障害は、「錯乱性覚醒」、「睡眠時遊行症(夢遊病)」、「夜驚症(睡眠時驚愕症)」の3種類に分類されます。


この中で錯乱性覚醒とは、不完全な目覚めの際に錯乱した状態になるもので、うめいたり、泣き叫んだり、手足をバタバタさせたりするような行動をとるものをいいます。


典型的には上記のとおり深いノンレム睡眠の終わりに現れますが、浅いノンレム睡眠から目覚めたときに起こることもあります。また、昼寝から目覚めたときに起こることもあります。


錯乱性覚醒の症状は、数分~数時間に及びます。考えも言葉もまとまらず、外部から呼びかけてもあまり反応はなく、あったとしても遅くなります。


電話が鳴っていると思いこみ、受話器を取り上げるようなこともあります。また、拘束すると反抗して攻撃的になることもあります。


しかし、当人はほとんどその記憶がありません。


錯乱性覚醒は、5歳以下の子どもによく見られるもので、成人ではかなり稀です。


子どもでは年齢が上がれば自然に症状が見られなくなります。そのため、通常は治療の必要はなく、心配ありません。


成人の場合には、徹夜後の睡眠、交代勤務や時差ぼけ、精神安定剤などの服用、アルコール摂取、過度の運動など原因によって経過が変わります。


なお、立ち上がって部屋の中を歩きまわる、大声を発して暴れる、泣きわめくという行動をとる場合には、「睡眠時遊行症」や「夜驚症」と呼ばれます。


これらについての詳細は、「(2)睡眠時遊行症(夢遊病)」ならびに「夜驚症(睡眠時驚愕症)」をご覧になってください。


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(管理用)